母の呪い…エディプスコンプレックスとは?母を求め続ける子供の悲劇

「人は一番最初に異性親に性愛感情を抱く」「無意識では親に近親相姦願望を持つ」などなど。

ちょっと普通では考えられないフロイトの提唱した「エディプスコンプレックス」という理論はご存知でしょうか。

 

また、後の性格形成に大きな影響をもたらす、エディプス感情とはどのようなものでしょうか。

 

この記事では以下のような事を詳しく解説していこうと思います。

 

・エディプスコンプレックスとは?

・女性は泣かないのに、なぜか男性はみな号泣するエディプス王の話

・アドラーが提唱するエディプスコンプレックス

・母に甘やかし続けられた子供の末路…

 

実はちょっと怖い話でもある「エディプスコンプレックス理論」について、理解を深めていきましょう!

 

エディプスコンプレックスとは?

 

エディプスコンプレックスとは、フロイトが提唱した概念です。

幼少期に起こる、異性親への性愛感情と同性親への憎悪の事を言います。

 

この理論によると、人間は一番最初に自分の異性親に性愛感情を抱き、さらに、この心理の中には親に対する近親相姦願望があると述べています。

んな、アホな。

 

人間なら誰にも起こるこの心理的な葛藤ですが、このエディプス感情を通して人は何を学ぶのでしょうか。

今回は、このエディプスコンプレックスについて徹底解説していこうと思います。

 

CHECK!

ちなみに、異性親に性愛感情を抱き、同性親をライバル視するこの現象ですが。

男の子の場合は、エディプスコンプレックス。女の子の場合は、エクストラコンプレックスと言います。

 

 

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男はみな号泣し、女は泣かない「エディプス王」の話

 

とあるギリシャ神話の演劇を見たフロイトは、疑問を持ちます。

「なぜこの話は、男はみな号泣し、女は1人も泣かないのだろう…」

この疑問が、エディプスコンプレックスの概念が生まれるきっかけ。

 

その演劇こそ、ギリシャ神話・悲劇の最高傑作と言われている「エディプス王」のお話です。

エディプスコンプレックスという名前の由来はこのギリシャ神話から来ています。

 

では、知らない方のために、エディプス王の話をとっても簡単に説明しますね。

 

エディプス王の悲劇あらすじ

・とある国の王様とお妃さまの間に男の子(エディプス)が生まれた。

・国王は預言者に「この赤ちゃんは、将来あなたを殺す」と言われる。

・預言を恐れた国王は、羊飼いにこの赤ちゃんを始末するように命じた。

・しかし、羊飼いは赤ちゃんが可哀そうになり、山の田舎の家に預ける。

・そのままエディプスは、自分が王子という事も知らず田舎の家で育つ。

・ある日、国王(自分の父)が参拝で山を訪れている際にエディプスと遭遇する。

・いざこざになり、エディプスはその人を国王とも父とも知らずに殺してしまう。

・その後、王がいない国があり困っているという事で、いろいろありエディプスがその国の王となる。

・自分の母とは知らず、その国のお妃様と結婚し、エディプスは子供まで産む。

・しかし、エディプスが国王となってから、国は疫病や不作などの災いが続く。

・預言者に尋ねると「前の国王を殺害した犯人が国に紛れこんだため国に災いが起こる」と言われ、エディプスは殺害犯を探しをはじめる。

・殺害犯を探っていくうちに、前国王を殺害した犯人は自分だと知る。

・父を殺し、母と交わってしまった罪の意識から、エディプスは目を潰し、母は自殺をしてしまう。

 

この演劇を見たフロイトは思います。

「この演劇を見た男性はみな号泣し、女は一人も泣かない。この話には何かあるぞ…。」

この疑問から「エディプスコンプレックス」の概念を導き出したと言われています。

 

エディプスコンプレックスの最大テーマは、「モラルや罪悪感」です。

さらに詳しく言うと「内から沸き起こる欲求をモラルや罪悪感により制御する事」を指します。

 

 

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エディプスコンプレックスは3~6歳の時の欲求

 

フロイトの「心理性的発達理論」によると、エディプス感情は3~6歳の時に生まれると言います。

人はこの時のエディプスコンプレックスによって、モラルや罪悪感を覚えるようになるのです。

 

このころの子供は、「ママと結婚する」「パパと結婚する」と言い、異性の親に性愛感情を抱きます。

フロイトによると、初恋の相手はみな異性の親だそうです。

んなアホな。でも、無意識ではそうらしい…。
確かに、我が家の4歳になる息子は「ママと結婚する」と言いますが…。

 

 

母と結婚したい男の子であれば、当然、父親が邪魔になります。

子供は母の愛を独り占めしたいのに、「ちょっとパパのご飯の用意するから待って」などと遮られ、「パパさえいなければ…」と無意識で思います。

 

しかし、同時に「自分の父親をいらない!なんて思う、その感情はいけない事だ。」とも感じます。

まさに、モラルと罪悪感。

こういった葛藤が、エディプスコンプレックスです。

 

フロイトは、この期間に何らかの形で不安を解放できないと、後に神経症を発症する事があると言います。

これについては、まだまだ議論がなされていて決まった事ではありません。

 

しかし、エディプスコンプレックスは、大人になってからの性格や恋愛の仕方などに大きな影響をもたらすと言われています。

\神経症って何?/

 

 

アドラー式「エディプスコンプレックス」の概念

それでも、フロイトが言う「異性の親を性愛対象として求める願望」や「近親相姦願望」などは、やはりピンとこない人が多いはず。

これは無意識である願望と言われても、私も「いや、絶対ない。気持ち悪い…」と思ってしまいました。

 

そこで、次に紹介したいのが、アドラーという心理学者が提唱した「エディプスコンプレックス」。

こちらはフロイトと違い、性の願望は無いとした上で、母を求め続ける子供の心理をわかりやすく説いています。

こっちの方が馴染みやすい人が多いかな…と思うので、こちらも詳しく解説していきます。

 

 

母親に甘やかされた子供

 

アドラー式エディプスコンプレックスの概念は、「母親に甘やかされた子供が、父親と母親を取り合う競争」という事。

 

まずは、母親に甘やかされた子供の説明をします。

何でもしてくれる母親の奴隷的な愛情のもとに育った子供は、自分の願望は何でも叶う!それが正しい!という思考が成り立ちます。

 

すると、学校や社会、友人関係などにおいて、自分の努力によって他人から好意や愛情を得るという事ができません。

ここでのポイントは、アドラーのエディプスコンプレックスはフロイトのものとは違い、母親に性愛感情はありません。

 

条件は、「何でも思い通りに叶えてくれる母」というのがポイント。

 

 

召使いという母の愛により、対等な人間関係が築けない

 

このような母親の奴隷的な愛情のもと育った子供は、大人になっても母親から離れられません。

彼らは、愛情に奴隷や召使いを求めてしまうため、対等の人間関係を築く事ができないからです。

自分の言う事を何でもきいてくれるのが、愛情と思ってしまうんです。

 

そして、その愛情を満たしてくれる相手は自分の母親しかいません。

そのため、「恋人はいらない!」「友人はいらない!」「自分には母さえいればいい!」とすら思う事もあります。

 

 

結果、母に縛られ母から離れられない子供に

 

その結果、100%願望を叶えてくれる唯一の存在である母親と離れられなくなってしまいます。

子供は母親に対し、いつも自分の近くにいて願望を満たして欲しいと思うようになります。

 

アドラーいわく、エディプスコンプレックスの一番の被害者は子供。

母親は子供の全ての願望を満たす事で、子供の関心が他者に向く機会を奪います。

 

このように、見えない糸で母親にぐるぐるに縛り付けられて、離れられないようにされてしまうのです。

 

 

母親の甘やかしが続く限り、子供のエディプス感情は続く

 

しかし、この母とずっと一緒にいたいという願望を邪魔するのは父親の存在です。

 

例えば、「お父さんが帰ってきたから、ご風呂の用意するね。」「これはお父さんが食べる分だから食べないでね。」など、母が自分の願望を叶えてくれない事があるとしたら、こんな場面。

 

これが、アドラーが言う「母親に甘やかされた子供が、父親と母親を取り合う競争」(エディプスコンプレックス)になります。

母親の甘やかしが続く限り、子供と父親の対立は続き、それは成人してからも続く事があると言います。

 

 

まとめ(エディプスコンプレックス)

いかがでしたでしょうか。

エディプスコンプレックスをフロイトの理論、アドラーの理論と2つ紹介させていただきました。

 

どちらも共通しているのは、異性親の愛情を巡って、同性親に嫌悪を抱くという事。

そこに性愛感情を含むのがフロイト、含まないのがアドラーの考えという感じです。

 

親に性愛感情を抱くというフロイトの考えには、少し疑問もありましたが、現在4歳の息子の行動・言動を考えると納得できる所もあります。

 

■息子の言動・行動

・「大きくなったらママと結婚する。パパは別の人と結婚して。」と言う。

・私と夫が話し込んでると、「ママ!ママー!」と割り込んでくる。

・パパが私に軽いスキンシップ(肩をポン!とか頭をポン!など)をすると不機嫌になる。

 

確かにこれは、焼きもちをやいている行動ともとれますよね…。

 

何はともあれ、まだまだ議論がなされている理論でもあるので、この記事は参考までに。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 

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