さまざまな人間関係において問題を起こす「神経症者」や「神経症的要求」。
神経症はノイローゼや不安障害という言葉でも表現されますが、みなさんも一度は聞いた事があるのではないでしょうか?
しかし、心理学に精通した人でもなければ、聞いてもピンと来ないなかなか馴染みのない言葉だったりしますよね。
この記事では、人間関係のトラブルの元となりがちな「神経症」「神経症的要求」について徹底解説していこうと思います。
特に、「神経症的要求」は自己愛性パーソナリティ障害の特徴の1つでもあります。
自己愛さんについて知識を深めたい人も是非最後まで読んでみてくださいね。
✔ 神経症(ノイローゼ)とは?
✔ 神経症的要求とは?
✔ どうして神経症になってしまうの?
✔ 自分が神経症の場合はどうすればいい?
神経症とは?(別名:ノイローゼや不安障害など)
神経症とは、自分の心や性格のせいで精神の不調をきたす病気の事を言います。
神経症にはさまざまなものがあり、不安神経症、強迫神経症、恐怖症が特に有名な症状として知られています。
主に、神経症者には3つの反応のパターンがあると言われています。
それは、以下の通りです。
【反応のパターン】 | 【特徴】 |
① 人に近づく | 人から必要とされる事で自分の価値を見出す。 自己犠牲的に人と接する。 |
② 人を攻撃する | 弱さを隠そうとし、人より優れているようにふるまう。 人を攻撃し、支配・利用しようとする。 |
③ 人から離れる | 人に依存せず1人でいたいと思う。 「あいつら何が楽しいんだ」とすねているような状態。 |
このように神経症の反応は3パターンありますが、全てに共通している事は激しい劣等感を持っているという事。
神経症者の内面は、劣等感に支配されています。
神経症者のする要求「神経症的要求」とは?
「神経症的要求」とは、神経症者がする要求の事です。
神経症的要求は、自己愛性パーソナリティ障害の特徴の1つでもあると言われています。
なんだかヤバそうな予感…。
「神経症的要求」とは、アメリカの精神科医であるカレンホーナイにより提示されました。
カレンホーナイによると、神経症者の要求には以下の特徴があると言います。
- 愛情と承認への欲求があるか
- いざというときに、自分の人生を引き受けてくれる相手がほしいか
- 自分の生活や行動を制限していつも目立たないようにしているか
- 権力を崇拝・服従し、弱いものを軽視・支配するか、支配欲が強いか
- 人に勝つためには手段を選ばず人を利用するか
- 社会的に認められて名声を博したいか
- 人に誉められたいか
- 人に負けたくないか
- 自律と独立への欲求が強いか
- 完全で非の打ちどころがない状態を欲するか
参考:ひろみの勉強部屋
めちゃくちゃな事を言っていますよね。
しかしこれらをすごく簡単に表現すると、「私を大切にしろよ!」と言っているのです。
神経症者の要求の4つの特徴/具体例など
カレンホーナイの10の特徴では、ピンとこなかった方はこちらも見てください。
日本の社会学者である加藤諦三氏により説明されている「神経症者の要求の特徴」によると、大きな特徴が4つあります。
- 要求が非現実的
- 要求が自己中心的
- その要求に見合った努力をしていない
- 要求に復讐性がある
順番に具体例を出しながら解説していこうと思います。
1.要求が非現実的
例えば、自分が病気になり入院した場合。
神経症的要求の例で言うと…
「見舞いに来るのが当然だ」
「見舞いに来ない奴はありえない」
「見舞いに来ないなんて、薄情なやつだ」
と思う事だと言います。
普通の人であれば、「あの人は仕事が忙しいから…。」とか、「何かこれない事情もあるんだろうな。」と、人の立場に立ってその人の都合を考える事ができますよね。
しかし、神経症者にはそれがありません。
よって、要求が非現実的で(神経症者から見た)超理想論になってしまうわけです。
2.要求が自己中心的
自分が良かれと思ってしたことが相手にとっては迷惑だった、こんな経験って誰にでもありますよね。
普通の人であれば、その理由を知れば「それは迷惑だったね…ごめんね。」なんて反省します。
さらに「次はこんな失敗をしないように気を付けよう」と思ったりするものです。
しかし、神経症者は違います。
「私がこんなに良くしてるのに!!なんで感謝しないんだよ!」
「私がここまでやってるのに!!」
と怒りに変わってしまうのです。
神経症者は、相手の気持ちや都合はいっさい考えないため「私は!私は!」と、まさに自己中心的になってしまいます。
そして、物事がうまくいかなくなると、「私がこんなにしているのに、誰も私をわかってくれない。」と言い出します。
3.その要求に見合った努力をしていない
次は、こちらの特徴について見ていきましょう。
例えば、子供が小さい時に激しく虐待をしていた親がいるとします。
そんな親に限って、自分が老人になった途端、その虐待していた子供に「介護しろ」「面倒をみろ」と迫ったりするのです。
普通の人であれば、かなり理不尽な事を言っていると感じるのですが、神経症者は「子供が親を介護するのは当たり前だ!」と自分の行動を棚に上げて要求してきます。
4.要求に復讐性がある
神経症者は「理想の自分像」を強く持っていて、理想の自分と現実の自分の乖離に苦しめられています。
そして「周囲を見返してやりたい」という復讐心を持っているため、現実の自分には到底無理な大成功を望んでしまい、さらに大きな乖離を生むという悪循環にはまります。
神経症者は、社会的地位や名声、富などを必要以上に追い求めていしまうという特徴があるのです。
神経症になる感情は「抑圧した怒り」
神経症を引き起こす原因は、一般的に「不安」だと言われています。
しかし、このような漠然とした不安はなぜ湧きあがるのでしょうか。
そもそも、神経症者になってしまう人と、ならない人と何が違うのでしょうか。
それは、幼い頃に怒りの感情を抑圧した事が原因だと言われています。
親に対して「反抗なんてできない。主張したら嫌われる。」こんな感情を持ち、怒りを放置した事が原因です。
親に対する怒りを抑圧した事により、神経症の土台は作られてしまいます。
そして、親に大事にされなかったと無意識に感じている人が、「私を大切に扱えよ!」と反応し、問題を次々と起こすというわけです。
自分は誰に怒りを感じているのか、自己分析が必要!
神経症から抜け出すためには?解決策は?
ここまで読んで、「あれ?私自身が神経症なのかもしれない。」「この生きずらい人生変えられないの?」と不安に思った方もいるのではないでしょうか。
そこで、神経症を抜け出す方法として一つの解決策を提示させてもらいます。
fa-check-circle自分は「(親に)怒ってる」と気づく
fa-check-circle人に認められたいという承認欲求を捨てる
fa-check-circle自分で決める・自分で選ぶ
fa-check-circle自立する不安に打ち勝つ
fa-check-circle幼少期に戻ったと仮想して、親に「私はお前が思うような人間ではない!」と言ってやる
自分を見つめなおしながら、やってみよう!
そして、とっておきの対処法として「周囲へ期待しすぎない事」もオススメします。
この「期待しない」というのは、生きていく上で最強のスキルでもあります。
ポジティブな人は自然とみんなできている事です。
では、期待しないという事がどれだけ素晴らしいか、自分が入院した例で考えてみます。
周囲への期待が高い神経症の人は「見舞いに来るのが当然だ!」「来ないなんてけしからん!」と来ない人に対して、怒ります。
しかし、周囲への期待が高くない人であれば、「忙しいのに見舞いに来てくれたんだ。ありがとう。」と来た人に対して、感謝するわけです。
起こった出来事は同じなのに、こうも感情が変わってきます。
どっちが生きやすい人生かは一目瞭然ですよね。
自分のためです!
まとめ(神経症・神経症的要求)
いかがでしたでしょうか。
① 神経症は大きく3つに分けられているが、共通する事は劣等感を持っている事。
② 神経症的要求の4つの特徴は、非現実的、自己中心的、努力に見合っていない、復讐性がある。
③ 神経症的要求を簡単に言うと「私を大事にしろよ!」という感情。
④ 神経症の原因は、幼少期に親への怒りを抑圧した事だと言われている。
⑤ 神経症者は自分のためにも、周囲に期待しすぎない事。
この記事をまとめるとこのようになります。